200~300万円の制作依頼を断った理由
とみます(@20tomimasu)です。
200~300万円規模の依頼相談があったものの、
3Dプリンターで造形するのには、あまり現実的ではないか…
今回は、200~300万円の制作依頼を断った理由について。
制作構造が赤字を生むから
提示された金額は大きかった。
が、内容を分解すると…
- 大物
- 薄型
- 同一形状
- 大量生産
- できるだけ安く
一見、良さそうに思えたが、一番の難点は、薄型大物だね。
これは3Dプリンターにとって、 最も人件費が膨らむ構造で。
というのも…
薄型大型造形の難点
3Dプリンターは自動で動く機械である。
が、造形後の工程は自動化できない。
薄型大物の造形物は、
- ベッドへの密着が強い
- ブリムやラフトが必要になる
- 無理に外すと割れや変形が起きる
そのため、 1枚ずつ、手で状態を見ながら、慎重に取り外す必要があり。
たとえ、
1個10分で造形できても、取り外しに30秒の人手が必ず発生するのよね。
- 3DPが作る→人が取り外す→3DPが作る…
と、手作業を介することになる。
超非効率な待機時間が生じるので、単価を低く設定してしまうと、
時給計算500円とかになるから、ブラック企業化に…なんてことも。
大量の受注相談があっても、安易に受注しないように気を付けたい。
手作業の時間は並列化できず、 原価の中で最も重くなるかと。
数を増やしてもコストが下がらない、特有な構造
金型やプレス加工では、 数を作るほど、1個あたりが安くなる。
が、3Dプリンターでは事情が異なる。
買えば機械を同時に何台でも動かせるが、造形物をベッドから外す手間は変わらない。
パッと見、スケールしやすいように思えるものの、人件費は線形に増えるので気を付けたい。
特に、薄型大物の場合、
大型3Dプリンター装置1台で1造形物という、とんでもなく、1バッチ当たりの生産性が低い。
これが、小型であれば、1バッチで10個とか作れるから、単価を下げれるものの。
数量を増やしても単価が下がらない構造なのよね。
ということで、
- 人件費がかかる→どうしても単価が高くなる
が正解かな。
よく、大量注文なのに高い、と感じられるのは、
3Dプリンター特有の製造方法なのかもね。
いつも言っているが、3Dプリンターでは、
カスタム性が高く、高単価のモノをつくるべし。
おわりに
以上「200~300万円の制作依頼を断った理由」でした。
人が外す、人が確認する、人が判断する。
どうしても手作業を介するためですね。
この構造を理解した上で依頼・設計を行うことが、 作り手と依頼者の双方にとって、最も健全な関係を生んでいくのかと。
継続して発信していければ。
それでは、また。
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